「こどもロコモ」って?
「こどもロコモ」という言葉を聞いたことがありますか?
“ロコモ”とは、「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」の略で、本来、年齢が高くなるにつれて、『カラダを動かす力が弱くなり、動くことが難しくなる状態』を指す言葉です。
ところが、近年、こうした状態が、こどもたちの間でも広がっていることが分かってきました。
つまり、骨・筋肉・神経などの運動器の発達や機能が十分育っていないために、「カラダを動かす力が弱くなってきている子ども」が増えてきているのです。
当てはまる? 要注意サインチェック
もし、お子さんに次のような様子が普段の遊びや生活の中で見られている場合は要注意です。
- よく転ぶ
- 姿勢が悪い
- 疲れてすぐに座りたがる
- 片足立ちができない
- しゃがめない
- ジャンプが苦手
- ボールをうまく投げられない
- 何かにぶら下がることができない
いま、こどもたちがカラダを動かす場面は、昔にくらべてグッと減っています。
- 車での移動が中心になった
- 外遊びより室内遊びが増えた
- 公園で自由に遊ぶ機会が減った
といった生活の変化により、カラダを動かすことを前提とした成育環境が失われつつあるのです。
そのため、「どうやって日常の中に運動の機会をつくるか」が、“健康寿命の延伸” を掲げる日本にとっても重要な課題になっています。
乳幼児期は“神経発達の黄金期”
乳幼児期は、特に神経の発達がめざましい「黄金期」。
この時期にさまざまな動きを経験することで、「動きのセンス」 や 「バランス感覚」、「反応力」 などが自然と育っていきます。
しかし、逆に動きの経験が少ないと、本来カラダを動かすことで育まれるはずの 「カラダの感覚」 が発達しにくくなってしまいます。
たとえば
- 回転や揺れを通してカラダの動きを感じ取る 『前庭感覚(感覚)』
- 姿勢を安定させるためにカラダの傾きを感じ取る 『平衡感覚』
- 手や足などのカラダの位置や状態を把握する 『身体感覚(ボディイメージ)』
- 力加減やカラダの動きを調整する 『固有受容感覚』
など、これらの感覚が十分に育たないと、転びやすくなったり、動きがぎこちなくなったりして、将来的にスポーツをはじめたときに、ケガをしやすくなったりします。
だからこそ、幼児期からしっかりとカラダを動かす習慣をつくることが何よりも大切です。
そして、運動だけでなく「栄養」や「睡眠」など、毎日の生活リズムを整えることも子どもの心身の成長には欠かすことができません。
「こどもロコモ」予防の第一歩
幼児期の「動きづくり」は、『一生の健康の土台づくり』です。
遊びながらたくさん体を動かすことで、将来のケガや不調を防ぐことにもつながります。
「こどもロコモ」を防ぐための第一歩は、“楽しみながらカラダを動かすこと”から。
こどもたちの未来の健康のために、“遊びながら育つ”環境を通して、「動けるカラダ」と「やってみよう!というココロ」を育てていきましょう。
監修
佐藤 健 【UGOKKO起案者/運動プログラム監修者 理学療法士(認定:運動器) 健康科学修士】